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2001年に施行された
これからの時代を象徴する
法律

住宅に関する法律というと、家を建てる際に関わってくる「建築基準法」や
不動産屋を利用する時に目にする「宅地建物取引業法」などがまず思い浮かぶと思います。
これらも一般の人にとっては、住宅を買う・借りるといった機会でもなければ、なかなか触れることはありません。

実際には、住まいに関する法律には他にも様々なものが存在します。
そのひとつに「高齢者の居住の安定確保に関する法律」という、
高齢者が安心安全に生活できる居住環境をつくるための法律があるのをご存じでしょうか?

家の終活を考えるにあたっては知っておくべき制度も含まれています。
まずは概要から触れていきましょう。

概要

高齢者住まい法とは?

「高齢者の居住の安定確保に関する法律」は通称「高齢者住まい法」と呼ばれ、その名が示す通り、高齢者が安心して暮らすことのできる居住環境を整備するための法律です。
2001年に施行され、その後2011年には、それまであった複数の高齢者向け住宅制度を統合した「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」が創設される改正がなされました。

名称だけを見ても住まいの終活と密接に関わっている法律であることが伺えるかと思います。
それでは、この「高齢者住まい法」の柱と言える、いくつかのおもな制度内容を見ていきましょう。

自宅で料理をするシニア世代

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の登録制度

高齢単身・夫婦世帯が安心して暮らせるよう、高齢者にふさわしい住環境(バリアフリー完備、居室面積の確保、一定の面積要件を満たす共用スペースの設置、各戸にトイレや洗面設備の設置など)と見守りサービス(安否確認・生活相談)の提供が付いた賃貸住宅を国が登録し、情報を公開する仕組みです。

こんなメリットが

  • 高齢者が安心して利用できる住宅の正確な情報を受けられる
  • 提供する事業者も税制優遇や融資が受けられる

終身建物賃貸借制度

高齢者が亡くなるまで終身にわたり住み続けられ、死亡時に契約が終了する「相続のない一代限り」の賃貸借契約です。
都道府県知事等の認可を受けた事業者だけがこの制度を通じた住宅の供給をすることができ、賃借人は供給された賃貸住宅に生涯安心して住み続けることができます。
また、この制度によって提供される住宅はバリアフリー基準を満たした物件となっていますので、高齢者の住宅環境としても安心感があります。

「賃借権が相続されない」契約となるため、賃借人本人が死亡した際に家族が住み続けられなくなる場合がありますので、この点が注意点として挙げられます。

こんなメリットが

  • 生涯安心して住み続けられるので、退去等の不安が払しょくされる
  • 賃貸人側である事業者にとっては、長期入居による安定収入が見込める
  • 契約終了手続きの際に相続人を探す等の業務が省け、解決がスムーズになる

高齢者向け公共賃貸住宅の供給

民間活力を活用した、高齢者向け賃貸住宅の供給促進の取り組み。
新築住宅だけでなく、既存の中古住宅や機構・公社の既存ストック物件も改良して利用します。

こんなメリットが

  • 一般的な賃貸住宅よりも家賃が低く設定されている傾向で、年金生活でも家計の負担が少なくなる
  • 高齢者向け住宅なので、バリアフリー構造や手すりの設置など、一般賃貸住宅に比べて高齢者向けの配慮やサービスが備えられている
  • 住まいの確保が難しくなる高齢者への効率的かつ安定的な住居の提供が望める
  • 空き家や公的ストックの有効活用することで、住宅需要減少の課題解決にもつながる

高齢者居住支援協議会の設置

住宅確保要配慮者となる高齢者が安心して賃貸住宅に入居できるよう、行政と不動産業者、福祉団体などが連携し「つなぎ役」としての支援体制を構築する会議体を設置。

2025年に施行された「住宅セーフティネット法改正」により、市区町村での設置が努力義務化されました。

こんなメリットが

  • 高齢者が賃貸住宅への入居を断られるケースを減らし、高齢者の住まい確保を円滑にする
  • 居住支援法人が入居者の見守りや緊急時の対応を行うことで、賃貸人の負担と不安を軽減
  • 行政(住宅部局・福祉部局)と福祉団体、不動産事業者、社会福祉法人が連携することで、包括的な支援体制と地域福祉の仕組みを構築することができる

さまざまな問題の解消に向けて

高齢者住まい法が担う
期待

高齢者の住環境の改善

少子高齢化が深刻な社会問題となっている現代、高齢単身・高齢夫婦世帯が安心して生活できる住まいの供給が重要となっています。
高齢者住まい法では、バリアフリー設計などのハード面だけでなく、見守りサービスや生活相談、安否確認といったソフト面のサービス提供もあわせた高齢者の住環境改善・普及の促進が目的のひとつに掲げられています。

居住空間の確保

高齢になると賃貸住宅に入居する事が難しくなるという現実があります。年齢が上がるほど入居審査が厳しくなる主な理由として、経済的不安や連帯保証人の問題、周辺住民とのトラブルリスクなどが挙げられます。
こうした問題の解決と住宅確保要配慮者を支援する取り組みとして、住宅セーフティネットが設立されました。また、自治体や民間機関が連携して設立する「住宅確保要配慮者居住支援協議会」を通じて包括的な支援体制も構築されています。

不当な契約などの被害予防

サ高住の運営基準では、事業者は契約内容の透明性確保が義務付けられています。
高齢者の住居に関しては詐欺などの悪徳なビジネスによる被害が増加傾向にありました。また、契約時の内容説明の不十分による契約トラブルも多く報告されていることから、高齢の利用者を不当な契約やトラブル被害から守るための防止策として盛り込まれた法整備のひとつになります。

私たち誰しもが関わる
法律

住宅に関する法律には、実は様々なものがあります。近年では「建築物省エネ法」(2025年4月から義務化)の改正がありましたが、これは深刻化する環境問題への対策、2050年カーボンニュートラル実現を目指すための取り組みとして定められた法律になります。
これから家を建てるときや終活リフォームをするときに触れる機会があると思いますが、地球温暖化をはじめとする環境問題については、私たち誰しもが関わる問題であり、考えていかなくてはならない大きな課題のひとつです。

「高齢者住まい法」も超高齢化社会に生きるすべての人に関わってくる法律と言えるでしょう。今後も法改正が行われていく事が考えられます。これらの法整備の中には、終活を考えるうえで「知らないと損する制度」もあるかと思います。私たちの暮らしと密接に関わる法律ですので、これからも注視していくことが大切になってきます。

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